医療法人財団 康生会 武田病院

康生会 武田病院

脳卒中大国日本、高度な救急体制で対応

脳卒中大国日本、

高度な救急体制で対応

先進国のなかでも日本はトップレベルの「脳卒中大国」とされ、患者数は約174万人で米国の2倍規模となっています。今後も増加する脳卒中に対応するため、当センターは高度な救急医療体制をさらに高めてまいります。

地域の中核施設として

治療・支援を一貫サポート

手術の様子

脳卒中センターについて

about

脳卒中治療の中核施設
(PSCコア施設)

脳卒中は寝たきり原因第1位かつ死亡原因第4位の恐ろしい疾患です。高齢者人口の増加に伴い増加する急性期脳卒中に対応することが喫緊の課題となっています。

当院は脳卒中治療の中核施設(一次脳卒中センターコア施設=PSCコア施設)として「rt-PA療法」「機械的血栓回収術」を24時間365日実施できる体制を堅持し、頭部外傷など幅広い疾患に対応しています。また、専用の相談窓口を設置し、脳卒中の患者さん・ご家族の支援を多職種で積極的に行っています。

脳卒中センター長

滝 和郎

Waro Taki

ことは1分1秒を争うので
直ちに脳卒中センターへ

最も強調したいのは「急にしゃべりにくくなった、手足がしびれてきた、動かしにくい、体がふらつくなど、何か変だ」と思ったら、直ちに脳卒中センターに来て検査を受けてください、ということです。

「少し経てば自然に回復するかもしれない」といったん考えてしまうと、すぐに時間がたって手遅れになり、治るものも治らなくなります。こういう方々が本当に多いのです。ことは1分1秒を争います。直ちに脳卒中センターで検査を受けてください。

滝 和郎
定政 信猛

脳卒中センター 部長

定政 信猛

Nobutake Sadamasa

手術以外の可能な選択肢も
十分吟味しベストを尽くします

脳の手術が必要な病気が見つかったらどうすればいいのか?「脳の手術」と聞いて不安になるお気持ちはよく理解できます。しかし現実には、手術で改善される患者さんが多数おられます。

武田病院は、「救急を断らない」「症例ごとにベストを尽くす」そして「手術以外の可能な選択肢も十分吟味する」をモットーに、患者さんの視点に立った診療を実践しており、近隣施設からも厚い信頼を得て、多数の脳卒中の患者さんをご紹介いただいています。

  • 手術の様子
  • リハビリの様子
  • 問診の様子
  • 診察の様子
  • 手術室
  • 医師と手術室

( cerebral aneurysm )

脳動脈瘤

のうどうみゃくりゅう

脳の動脈が枝分かれする部分で血管が瘤(こぶ)状に膨れる状態をさします。破裂するとくも膜下出血を起こします。未破裂の脳動脈瘤の多くは無症状ですが、頭痛・めまいなどの症状があるものもあります。こうした頭痛・めまいの診療や、脳ドックなどの検診で発見されるケースが多くあります。

個々の症例により治療すべきかどうか、また治療する場合も「開頭手術(クリッピング術)」と「血管内治療(コイル塞栓術)」があり、当センターでは両方のエキスパートがいます。多くの術前検査のデータを総合的に判断し、動脈瘤自体の破裂の可能性と破裂した場合の神経障害、生命に及ぶ危険性や患者さん自身の年齢、全身状態、さらに手術の危険性を考慮し、インフォームドコンセントを重視して治療を行っています。

未破裂脳動脈瘤について、破裂の不安をかかえている方は非常に多いと思います。しかし多くの小さな脳動脈瘤は、治療の必要性がありません。ご自身がお持ちの脳動脈瘤について相談したい方は当院外来にお越しください。

主な治療方法

  • コイル塞栓術(血管内治療)
  • クリッピング術(開頭手術)
  • 脳動脈瘤の血管が瘤(こぶ)状に膨れる状態
  • 脳動脈瘤の手術

DISEASES #01

( subarachnoid hemorrhage )

くも膜下出血

くもまくかしゅっけつ

外傷性くも膜下出血を除く

くも膜下出血は脳卒中の一つで、激しい頭痛が症状の特徴です。医学の発達した現在でも1/3が亡くなり、1/3が障害者になってしまうとても怖い病気です。

頭のCT検査や、MRI検査、あるいは腰椎穿刺(背中から注射器で髄液を採取します)が行われて、くも膜下出血かどうかを診断します。くも膜下出血と診断された場合は、即入院となり、出血の原因を調べます。多くの場合、脳動脈瘤が見つかります。

治療は大きく2種類あります。頭蓋骨を開けて動脈瘤を外側からクリップで挟み込む手術(クリッピング術)と、動脈の中から細い管を動脈瘤の中に入れてコイルを詰める手術(コイル塞栓術)のうち、それぞれ適した方法が選択されますが、当院ではこの治療のどちらも行うことが可能です。

主な治療方法

  • コイル塞栓術(血管内治療)
  • クリッピング術(開頭手術)
  • くも膜下出血のレントゲン
  • くも膜下出血の手術

DISEASES #02

( cerebral infarction )

脳梗塞

のうこうそく

脳梗塞は脳の血管が詰まって起きる病気です。血管は脳細胞に酸素や栄養のもとになる血液を送っていますので、血管が詰まると脳細胞の機能が止まってしまい、時間が経つと死んでしまいます。こうなるといかなる治療をしても細胞は元には戻りません。脳細胞が死ぬ前に、一分一秒でも早く病院で診断を受け、治療を行う必要があります。

症状が起きて4時間30分以内であれば、詰まっている血のかたまり(血栓)を溶かす薬(rt-PA; 組織プラスミノーゲンアクチベーター)が使用できます。しかし、この薬を用いても溶かせない血栓がある程度存在します。また、最近大きな手術をされたり、重篤な肝障害などがある場合はrt-PAを使うことができません。MRIや脳血管撮影などで太い血管が閉塞している場合には、脳血管内治療の出番になります。(CTやMRI検査で、すでに多くの脳細胞が死んでいると判断できる場合は、これらの治療は行うことができません。)

血管内治療では、金網に血栓を引っ掛けて取り除く方法と、大きめの管で吸引してしまう方法の一方を、あるいは組み合わせて血栓を取り除きます。血栓が回収でき、血管がもとの形になり、血液が流れるようになると、脳細胞のダメージを最小限にすることができます。意識が悪く、完全麻痺であった方が歩いて退院するといったことも決してまれではありません。

尚、脳梗塞はその原因別に『心原性脳塞栓症』『アテローム血栓性脳梗塞』『ラクナ梗塞』、その他の梗塞に分類されます。

  • 脳梗塞の手術
  • 脳血管内治療
  • 脳血管内治療で使用する金網

主な治療方法

ラクナ梗塞

抗血栓療法(薬物治療・抗血小板薬)

心原性脳塞栓症
  • rt-PA(薬物治療)
  • 抗血栓療法(薬物治療・抗凝固薬)
  • 血栓回収(血管内治療)
  • 開頭減圧手術(開頭手術)
アテローム血栓性脳梗塞
  • rt-PA(薬物治療)
  • 抗血栓療法(薬物治療・抗血小板薬・抗凝固薬)
  • 血栓回収(血管内治療)
頚動脈狭窄症(※)
  • ステント留置術(血管内治療)
  • 頚動脈内膜剥離術(外科手術)

アテローム血栓性の一つ。

DISEASES #03

( Stenotic lesions of intracranial vessels )

頭蓋内血管の狭窄性病変

ずがいないけっかん の きょうさくせいびょうへん

頭蓋内血管の狭窄性病変で脳血流が減少しているケースも脳梗塞を発症することがあります。

脳卒中ガイドラインに従い、頭蓋外の血管を頭蓋内の血管と吻合する、EC-ICバイパス術(頭蓋外・頭蓋内バイパス術)を行います。浅側頭動脈(STA)を皮膚から剥離し、中大脳動脈(MCA)へ吻合することからSTA-MCAバイパス術とも言われます。

主な治療方法

  • EC-ICバイパス(開頭手術)
  • 頭蓋内血管の狭窄性病変の手術

DISEASES #04

( Brain Tumor )

脳腫瘍

のうしゅよう

脳腫瘍は、脳の細胞や脳を包む膜、脳神経などから発生した『原発性脳腫瘍』、他の臓器で生じたがんが血流で転移する『転移性脳腫瘍』に大別されます。分類は非常に多く、例えば原発性脳腫瘍でも組織学的検査や遺伝子検査などで150種類以上に分類されます。

当院では、CT、MRI、DSAなど多くの特別な検査を行い、総合的かつ慎重な評価を行い正確な診断を行っています。

外科的切除術は治療の基本であり、手術用顕微鏡を用いて、より安全で正確な腫瘍摘出が可能となっています。低侵襲手術を行うため、最新の超音波吸引手術装置(CUSA)、電気凝固装置、ハイスピードドリル、術中超音波システム、術中電気生理モニターなどの機器を活用しています。

また、下垂体腫瘍をはじめ神経内視鏡が得意とする領域では、内視鏡による摘出手術も積極的に行っています。

主な治療方法

  • 外科的切除術(開頭手術)
  • 神経内視鏡手術(内視鏡手術)
  • 放射線療法
  • 化学療法
  • 脳腫瘍の手術中
  • 脳腫瘍の手術器具

DISEASES #05

武田病院館内

脳卒中
相談窓口について

脳卒中<br>相談窓口について

脳卒中の患者さんとそのご家族等に対する
幅広い情報提供・相談支援

康生会武田病院は一次脳卒中センターコア(PSCコア)施設として日本脳卒中学会に認定されています。脳卒中は急性期を乗り切っても後遺症で苦しんだり、再発の危険にさらされることの多い病気です。また、回復期あるいは維持期が長く続くため、患者さんとご家族にはその時々にあった情報提供・相談支援を行うことが重要です。このためPSCコア施設には脳卒中相談窓口が設けられます。

当院では2022年10月に脳卒中相談窓口を設置。特別に訓練された日本脳卒中学会認定の脳卒中療養相談士(27名)を中心に脳卒中相談窓口ならびに病棟で情報提供・相談支援をしています。

また、メールアドレスをご登録いただいた方(武田病院サンナイ会登録者)には、日本脳卒中学会を中心とした脳卒中医療に関する最新情報を発信しています。お気軽にご相談・ご登録ください。

よくあるご質問

q&a

一般向け

脳卒中とはどのような病気でしょうか?

脳卒中は、脳の血管が詰まる・破れることで起こる恐ろしい病気です。

「卒中」は突然起こるという意味です。意識を失ったり、上手く喋れなくなったり、手足が痺れたり動かなくなるといった症状が特徴的で、最悪、死亡したり、治療しても重い障害が残るなど、大変危険な病気と言えます。治療は早急に行うことが重要ですので、疑わしい場合はすぐに救急(119番)してください。

一時的に上手く喋れなかったり、手足が痺れましたが回復しました。大丈夫でしょうか?

大変危険ですので、すぐに119番(救急)、もしくは医療機関を受診してください。

上手く喋れなくなったり、手足が痺れるのは脳卒中によく見られる症状です。ほどなく回復したのでしたら、それは脳内の血管が一時的に遮断された一過性脳虚血発作(TIA)の可能性があります。このTIAは2日以内に本格的な脳梗塞を発症する可能性が極めて高いので、放置せず医療機関をすぐに受診してください。

脳卒中はどのように治療するのでしょうか?

症状に合わせ外科治療・血管内治療・薬物治療などを行います。

脳の血管が詰まる「脳梗塞」は、発症早期(4時間30分以内)であればt-PA療法が有効です。これは血管の詰まりを薬液(点滴)で溶かす治療法です(※適用の診断が必要です)。t-PA療法で改善が見られない場合や適応外のケースでは血栓回収を行います。これは血管内にカテーテルを挿入して金属のアミ(ステント)を広げ、血管の詰まりをからめとる治療法です。
脳の血管の瘤が破裂しておこる「くも膜下出血」は瘤の部分をクリップで止め出血を防ぎます。未破裂の場合は、破裂を防ぐためカテーテルで瘤にコイルを入れる「コイル塞栓術」を行うこともあります。
また脳内の出血(脳出血)については、高血圧・動脈硬化によるものが多いため、降圧薬で血圧を下げたり、止血剤を投与するなどの治療を行います。出血量が多いケースでは、外科手術で血を取り除くなどの治療を行います。

どの医療機関でも治療ができるのでしょうか?

救急隊や地域医療機関の要請に応じる一次脳卒中センターの指定があります。

脳卒中は治療開始までの時間が非常に重要です。どの医療機関でも治療ができる訳ではありませんので、地域の医療機関や救急の要請に対し、24時間365日体制で脳卒中の患者さんを受け入れ、t-PA療法を含む治療を可及的速やかに行う一次脳卒中センター(PSC)が治療の中心となります。
当院は、このPSCの機能に加え、24時間365日体制で機械的血栓回収にも対応できる中核施設(PSCコア施設)の認定を受けています。t-PA療法を行いながら搬送される患者さんを受け入れ、当院で血栓回収を行う「ドリップ・シップ・リトリーブ」にも対応しています。

脳卒中は治療後も大変と聞きます

リハビリテーション・再発予防が重要です。

脳卒中は生命の危機を脱した後も、手足の麻痺や言葉が上手く喋れないなどの後遺症が発生しやすい病気です。当院では回復効果が高まるよう、術後早期から専門的なリハビリテーションを行っています。こうした早期のリハビリテーションは、廃用症候群を防ぎ、仮死状態にある脳細胞にも良い刺激になると考えられています。
また脳卒中は、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病と密接な関係にあり、大変、再発しやすい病気です。手術後も油断はできませんので、服薬治療や食事や生活の改善を行っていく必要があります。
当院ではPSCコア施設の機能である「脳卒中相談窓口」を開設しており、27名の脳卒中療養相談士(日本脳卒中学会認定)が中心となって、患者さん・ご家族のサポートを行っています。

医療者向け

「PSCコア施設」とはどのようなものでしょうか?

医療機関からの受け入れも行う脳卒中治療の中核的施設です。

PSCは地域の医療機関や救急の要請に対し、24時間365日体制で脳卒中患者さんを受け入れ、t-PA静注療法を含む治療を急性期脳卒中診療担当医師が可及的速やかに行う施設です。
こうした機能に加えコア施設の大きな特徴となるのは、24時間365日体制で機械的血栓回収にも対応できることです。t-PA静注を行いながら搬送される患者さんを受け入れ、当院で血栓回収を行う、といった地域医療連携(ドリップ・シップ・リトリーブ)にも対応しています。
さらに当施設は24時間365日脳神経外科の手術が出来るなど、より上位の施設認定(包括的脳卒中センター)にも対応できる体制にあります。

後遺症で悩む患者さんのフォローもしていると聞きました

「脳卒中相談窓口」で多様な専門職が対応しています。

PSCコア施設は「脳卒中相談窓口」を置くこととされています。窓口では脳卒中専門医が責任者となり、脳卒中に精通した看護師やMSWが常勤対応します。
当院では、2022年10月に脳卒中相談窓口を設置し、特別に訓練された日本脳卒中学会認定の脳卒中療養相談士(27名)を中心に、窓口での相談業務や病棟での情報提供・相談支援を行っています。
相談窓口の活動に先立ち、当院では患者会(武田病院 サンナイ会)を既に設立しており、「脳卒中にならない、手遅れにならない、脳卒中に負けない」を合言葉に情報提供にも尽力しています。

内視鏡手術にも対応されていると聞きました

血腫除去や腫瘍摘出など、神経内視鏡を駆使した低侵襲治療に力を注いでいます。

当院では、日本神経内視鏡学会技術認定医の定政信猛部長を中心に、神経内視鏡手術を行っています。とくに脳下垂体腫瘍は神経内視鏡が得意とする領域です。近年は経鼻のみで行う術式が患者さんへの負担が少ないとされ、当院でも実践しています。腫瘍摘出のほか血腫除去など、神経内視鏡を駆使した低侵襲治療に力を注いでいます。

血管病変などが見つかった患者さんの対応について教えてください

総合的に評価し、慎重に治療手段を選択しています。

脳ドック等で発見された血管病変など、脳卒中の予防を目的とした外科的治療には、頚動脈エコー、脳血流ドップラー検査などで脳循環動態を総合的に評価し、慎重に治療手段を選択しています。
もちろんその際にはインフォームドコンセントを重視し、国内外の臨床試験の成績やガイドラインを元にした説明を行い、最終的には患者さん自身で治療法の選択をしていただいています。
特に頚動脈高度狭窄病変では、病変の性質や患者さんの全身状態を考慮して手術的療法と血管内治療、内科的治療を選択しています。術後や病態の程度が軽い患者さんは定期的に頚動脈エコーや脳血流検査などの非侵襲的手法により検査を行い、外来診療において疾患の進行程度と予防的効果の成果を評価しています。

脳動脈瘤での治療選択はどのように行っていますか?

治療すべきかどうかも含め総合的に判断しています。

脳動脈瘤は、個々の症例により治療すべきかどうか、また治療法の選択が異なるので多くの術前検査のデータを総合的に判断して決めています。
特に未破裂例では動脈瘤自体の破裂の可能性と破裂した場合の神経障害、生命に及ぶ危険性や患者さん自身の年齢、全身状態、さらに手術の危険性を考慮し、インフォームドコンセントを重視して治療を行っています。
治療法には開頭術によるクリッピングと血管内治療の両方がありますが、当科では両方のエキスパートがいますので、個々の患者さんに最適な選択を行っています。

三叉神経痛、顔面けいれんの治療に対応していますか?

多くの症例を治療しています。

頭蓋内で神経が脳血管などによって圧迫されていることで起こる三叉神経痛や片側顔面けいれんの治療も当院が得意とするところです。圧迫を外科的に解除することで完治します。多くの症例を治療していますので、是非ご紹介ください。

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